2009-01-01から1年間の記事一覧

十九世紀の罠-2

(前回の「十九世紀の罠」の続き)「西洋建築様式史」(共著、1995年)、第11章「19世紀の建築」より。*1 18世紀後半に開始された新古典主義は、(中略)ローマの偉大さを強調しようとする傾向、(中略)ギリシアの「高貴な単純」こそ至上とする傾向など、さ…

十九世紀の罠

(前回の「レッセフェールの教訓」の続き)中央公論2010年1月号、「対談 「空白の時代」以後の二〇年」(蓮實重彦+浅田 彰)より、メモ。 十九世紀の罠に落ちた世界 蓮實重彦:(前略)十九世紀が二十世紀の世紀末をじわりじわりと侵食していることは、手応…

レッセフェールの教訓

新建築2009年11月号、「レッセフェール」(桐敷真次郎)より、メモ。 (前略)「市民の王」と呼ばれたルイ・フィリップ(1773-1850、在位1830-48)はアダム・スミスの「見えざる神の手」とジェレミー・ベンサムの「最大多数の最大幸福」を信じて、ブルジョワ…

「計画」と「規制」

(前回の「生ぬるい都市」の続き)中央公論2009年8月号、「東京が、「生ぬるい」街になった理由」(磯崎新)より。 十九世紀の国民国家では社会・経済・家族・都市すべてが「計画」できると考えられました。社会主義的でない国においても都市は「計画」でき…

生ぬるい都市

中央公論2009年8月号、「東京が、「生ぬるい」街になった理由」(磯崎新)より、メモ。*1 (前略)半世紀ほど昔、私は「未来都市は廃墟だ」と言いました。いまは、そのときからすれば未来だから、廃墟に住んでいると言ってもいい。眼前に瓦礫があるわけじゃ…

空飛ぶ都市計画

Episode.1 「ポータブル空港」 Episode.2 「space station No.9」 Episode.3 「空飛ぶ都市計画」*1 1960年代に人々が想像していた近未来を舞台にしたラブロマンス(3部作)。*2(追記) 「対談 百瀬義行×中田ヤスタカ 「ポータブル空港」はこうして生まれた…

新建築2009年12月号

「新建築2009年12月号」より、メモ。 「安い、ということ」(伊藤弘、デザイナー) ものの価格というのは、ある程度、製品やサービスの質をはかる尺度であったりすると思うのだが、どうやら昨今、様子はずいぶんと複雑になってきているようだ。以前の「安物…

闘うレヴィ=ストロース

相変わらず、乱読中っす。今週も帰宅中に3冊購入した。というか、最近、3冊を同時に買うという変な習慣が身についた(w)。んで、早速、電車の中で渡辺公三著「闘うレヴィ=ストロース」(2009年)を読み始めた。以下、メモ(P.21-22)。 調停が不可能にな…

メモ-3

おお。これは面白い。*1ポイントは、1)不労所得の問題、2)都市集中について、3)問題を解くということ。んで、僕の文脈では、 1)は、エベネザー・ハワード。*2 2)は、リチャード・フロリダ。*3 3)は、まっ、僕の「Z主義」。*4 となる。うーん、久…

メモ-2

ざっと、メモ。←考え中仲正昌樹著「集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険」(2008年)を読み終わる。この本は読後感が独特です(泣)。と言うか、前に仲正昌樹著「今こそアーレントを読み直す」(2009年)も読んでいるのだけど、その本に書かれて…

コーリン・ロウ-3

(前回の「コーリン・ロウ-2」の続き)相田武文、土屋和男著「都市デザインの系譜」(1996年)、第14章「ロウ」より。時間のコラージュ(続き) ロウらは「コラージュ的なアプローチ」を、「オブジェクトをその本来の文脈から徴用する、あるいは誘い出す手法…

コーリン・ロウ-2

(前回の「コーリン・ロウ」の続き)相田武文、土屋和男著「都市デザインの系譜」(1996年)、第14章「ロウ」より。図と地 ロウらの論法を支配しているのは、さまざまに言い換えながら示される二項対立である。そして、近代建築のテーゼとして語られながら、…

コーリン・ロウ

前回の「ギリシャ型とローマ型」の記事で書いた、コーリン・ロウの「コラージュ・シティ」(1978年)を買って読んだ。嘘です(w)。とりあえず、手元にある本で、概略だけ。相田武文、土屋和男著「都市デザインの系譜」(1996年)、第14章「ロウ」より。 (…

ギリシャ型とローマ型

「日食」*1は見られなかった(泣)。残念。次は2012年5月に、東京で「金環日食」が見られるらしい。3年後か。ところで、「皆既日食」とは、「月が太陽の前を横切って、太陽全部が隠される現象」で、「太陽は月の約400倍の直径だが、地球からの距離も約4…

日食

別ブログの「日食」の記事で、「来年の7月に日食が見られる」と書いたのだけど、えー、もう一年経ったのか、早ー、、ではない(w)、今週ついに「日食」です。(別ブログにも貼ったけど)ペット・ショップ・ボーイズの「eclipse」の動画です。うーん、何度…

ユルバニスム

(「機能から構造へ-2」で書いた「ブラジリアとシャンティガールのもつ致命的な欠陥」について調べていたら、磯崎新による「都市計画」の良いまとめ(通史)があったので、メモ。分かり易い。)「GA JAPAN 92」(2008年)、特集「さけて通れないコルビュジエ…

ヴィラ・コルナーロ

パラーディオのプラン(左右対称の平面図)みても、いまいち分からねぇ、という人が納得する(?)話w。ヴィトルト・リプチンスキ著「完璧な家」(2005年)第五章「ポルティコ」より。 (前略)案内人はここが寝室、ここは居間で、こちらは食堂などと言うが…

ヴィラ・バルバロ

久々にこの家とご対面した。「ヴィラ・バルバロ」*1。僕はこの家、好きなんですよねぇ。中央の棟から左右に両翼がばーんと伸びていて、飛行機みたいでカッコいい。*2えっと。ヴィトルト・リプチンスキ著「完璧な家」(2005年)、第六章「バルバロ兄弟」より…

メモ

旧ブログ(babyism)の「Integral Project-3」で、「『選択肢』の多さ=自由」と書いたけど、アンリ・ベルクソン著「時間と自由」(1889年)という本によると、そうではないらしい。熊野純彦著「現代哲学の名著」(2009年)第三章「時間・反復・差異」より。…

機能から構造へ-3

(結論は、前記事「機能から構造へ-2」で書いたけど、もう2例書いておく)黒川紀章著「都市デザイン」第二章「機能的都市の成立と変質」(1965年)より。キャンディリスのトゥールーズ都市計画 一九六二年四月フランスで行われたトゥールーズ・ミレーユ都市…

機能から構造へ-2

(「機能から構造へ」の続き)黒川紀章著「都市デザイン」第二章「機能的都市の成立と変質」(1965年)より。スミッソンのベルリン道路計画 ピーター・スミッソンによるベルリン道路計画を例にとってみよう。この案のいちばんの特徴は、既存市街地の道路とは…

機能から構造へ

別ブログの「雑記6」の記事(の後半)に出てきた「チームX(テン)」についてのメモ。黒川紀章著「都市デザイン」第二章「機能的都市の成立と変質」(1965年)より。CIAM*1の崩壊 CIAMの停滞は、CIAM組織そのものの停滞にも現れた。(中略)第十回CIAMは、…

社会的な身体-2

(「社会的な身体」の続き)荻上チキ著「社会的な身体〜振る舞い・運動・お笑い・ゲーム」(2009年)より。ノート「『情報思想』の更新のために」(の続き) (前略)こうした誤解は、社会モデルの段階的な変化を単純化して捉えてしまったり、あるいはそのモ…

社会的な身体

荻上チキ著「社会的な身体〜振る舞い・運動・お笑い・ゲーム」(2009年)より。別ブログの「雑記6」の記事で書いた、「情報空間固有の挙動」について、少し知っておこうと思って買った。まだ半分くらいまでしか読んでないけど、とりあえず、メモる。第1章「…

環境のイメージ-2

1つ前の「環境のイメージ」の記事で、「ケヴィン・リンチの別の調査(思い出せないw)」、「思い出したら書く」と書いたけど、Google ブック検索で探してみた。槙究著「環境心理学―環境デザインへのパースペクティブ」(2004年)僕が昔読んだのはこの本で…

環境のイメージ

(「ロサンゼルス」の続き)ケヴィン・リンチ著「都市のイメージ」第1章「環境のイメージ」(1960年)より。 往々にして、都市に対するわれわれの感じ方は、一様ではなくて、部分的であり、断片的であり、その他いろいろの関心事とまぜこぜになっている。そ…

ロサンゼルス

(「ジャージーシティ」の続き)ケヴィン・リンチ著「都市のイメージ」第2章「3つの都市」(1960年)より。まず、「ロサンゼルス」は*1、「都市地域の分散化」が進んでいて、「ダウンタウン以外にもいくつかの中心がある」、「他の多くのアメリカ都市の中心…

ジャージーシティ

(「アルンタ族の風景」の続き)ケヴィン・リンチ著「都市のイメージ」第2章「3つの都市」より。ケヴィン・リンチはアメリカの「3つの都市」で(面接)調査を行っている。「ボストン」(古い都市)*1と「ロサンゼルス」(新しい都市)*2と「ジャージーシテ…

アルンタ族の風景

(「ボロロ族の装飾」の続き)ケヴィン・リンチ著「都市のイメージ」*1付録Aより。 環境のイメージについては、古今の文学作品、旅行記、探検記、新聞記事、心理学や人類学の研究論文などといったいろいろな分野において言及されている。 (中略)たとえば人…

ボロロ族の装飾

(「ボロロ族の集落-2」の続き)クロード・レヴィ=ストロース著「悲しき熱帯II」第6部「ボロロ族」より。 (ボロロ族の)氏族は、神話や伝承や踊りや社会的宗教的役割などの資本を所有している。神話は神話で、ボロロ文化の最も興味をそそられる特徴の一つで…